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スマホ料金値下げ競争、台湾では基本料金「完全無料」プランも登場

料金面でなにかと批判されている日本のキャリアも、ドコモが新プラン「ahamo」を発表してから動きが激しくなっています。ahamoは2,980円(税抜き)でデータ20GB(以降1Mpbsで無制限)、5分以内通話無料と明瞭料金が特徴です。またソフトバンクはほぼ同じ内容ながらLINEが使い放題になるプランを「SoftBank on LINE」から提供予定と、2020年年末になり料金引き下げが相次いでいます。

一方KDDIが12月9日に出した新料金プランは、複数の割引を重ねた料金をあたかも誰もが使える金額のように発表したことでネット上で炎上しています。ドコモとソフトバンクは明瞭でわかりやすい料金であるのに対し、KDDIはみかけ上の安さで勝負しようとしたのが敗因でしょう。恐らく今後、KDDIも何かしらの対抗プランを改めて提供する必要に迫られそうです。

このように日本でも料金の値下げ競争が相次いだのは菅政権が携帯電話料金の値下げを掲げたという背景もありますが、楽天モバイルも参入したことで競争が激しくなってきたということもあるでしょう。一方、海外ではすでにキャリア間の競争は激化しており、特にアジア各国では低料金化も限界まで来ています。特に後から参入した新興系キャリアはあの手この手で大手キャリアに対抗策を打ち出しています。もちろん消費者に訴えるのはわかりやすい料金体系です。

中でも台湾はキャリアの数が多く、競争は10年以上前から激しさを増しています。以前はPHSサービスも提供されていた台湾ですが、PHSキャリアは無料キャンペーンを何度も繰り返して加入者確保に苦心していました。「無料」というわかりやすさは消費者に与えるインパクトは大きいものがありますよね。そして今も無料を掲げるキャリアがあります。

台湾の新興キャリア、TSTAR(Taiwan Star Telecom、台湾之星)が提供するのは4Gサービスの基本料金完全無料プラン。契約しても使わなければ一切料金がかかりません。使った場合は通話が1分1台湾ドル(約4円)、SMSも1通1台湾ドルです。使っただけを払う、非常に明瞭です。プリペイド方式ではなく12か月契約が必要なポストペイドプランですが、使わなければただならば試しに加入してみようと思う消費者も多いでしょう。

データ料金はプランに応じて1GBあたり30台湾ドル(約110円)または40台湾ドル(約150円)とこれもシンプルにわかりやすくなっています。ただしこの従量料金では課金が青天井になってしまいますから、プランごとに上限が決まっています。

スマホ料金値下げ競争、台湾では基本料金「完全無料」プランも登場

一番安い「4G 21Mbps」プランは、データ課金上限が88台湾ドル、約300円です。通信速度は21Mbps、88台湾ドル(約3GB)に達すると、それ以降は課金されない代わりにデータ速度は128Gbpsとなります。日本のMVNOにあるようなプランですが、基本料金無料なのがポイントです。

一方、一番高いプランは通信速度は500Mbpsと高速で、課金上限は699台湾ドル(約2,600円)。データ使い放題です。このプランに入っておけば安心してスマートフォンを使うこともできます。

実はTSTARは基本料金無料だけではなく、毎月一定の基本料金がかかるプランも出しています。基本料金699台湾ドルのプランも提供しており、こちらもデータは使い放題。つまり「基本料金無料だけど、データをどんなに使っても最大課金は699台湾ドル」と「基本料金699台湾ドルでデータ使い放題」と、同じ料金で同じようなプランを用意しているのです。

しかしこの2者には通話料金部分に違いがあります。基本料金ゼロ・最大699台湾ドルプランは1分1台湾ドルの通話料金がかかります。基本料金699台湾ドルプランのほうはどうかというと、250分の無料通話(250台湾ドル相当)が付属しているのです。

このようにTSTARは日本のキャリアのように低料金の新しいプランを提供するのではなく、支払い上限額が同じながらも「使わなければタダ」「毎日使いまくる人には通話も250分できる」という、2つの選択肢を与えているわけです。自分の使い方に応じて料金を選ぶことができ、データ料金だけを見ればどちらに加入しても不公平感がないようにしているわけです。

TSTARは基本料金有料プランも他の台湾キャリアより安い価格設定を行っています。大手3社(Taiwan Mobile、Far Eastone、中華電信)に比べ、後発グループであることから加入者増に悩んでおり、料金の安さを一番のセールスポイントにしているのです。そしてその低料金もKDDIのような割引を組み合わせたわかりにくいものではなく、ドコモやソフトバンクの新料金のようにシンプルでわかりやすくしています。TSTARに限らず他の台湾キャリアやアジアのキャリアも同様の明瞭料金を出している例がほとんどで、日本のスマートフォン料金も消費者重視という「国際標準」に一歩近づいたと言えるかもしれません。

なお台湾は物価が日本よりも安いので、TSTARの料金そのものと日本の料金をそのまま比較するのはあまり意味がありません。

台湾では2020年7月から5Gサービスが始まり、12月に5キャリアの合計5G加入者数が100万人に到達しました。内訳は大手3社が各社30万人、新興のTSTARとAsia Pacific Telecomが10万人とのこと。新興キャリアは5Gでも大手の後塵を拝しています。消費者が5Gを選ぶときはどこで5Gが使えるのかというカバレッジを最重視するでしょう。しかし料金ももちろん重要です。

他のキャリアと比べて本当に安いのか、自分はいくら払うのか。それが明確でなければ消費者は公平にキャリアを選択できません。スマートフォンはいまや社会インフラとして生活の必需品になっています。携帯キャリアが利益を追求するのは当然ですが、消費者が混乱するような料金を提示することは認めるべきではないでしょう。「どうしたら安く見えるか」ではなく「消費者が今、何を求めているのか」。キャリアにはそこを真に考えてほしいものです。