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手のひらサイズの高性能8コアRyzenベアボーンキットをCrucialメモリ& SSDでハイコスパ仕様に仕上げてみた

PC4-25600対応メモリとNVMe対応SSDがオススメ

 さて組み込むメモリだが、今回はCrucialブランドのPC4-25600(DDR4-3200)対応SO-DIMM「Crucial CT2K8G4SFS832A」を選んだ。メモリクロックの設定がいらないネイティブ対応モデルなので、組み込むだけでとくに設定をすることなくPC4-25600対応メモリとして認識される。

MicronのCrucial CT2K8G4SFS832A。PC4-25600対応のSO-DIMMメモリだ。8GBモジュールの2枚組パッケージとなる

 なお今回使用した4X4 BOX-4800U/JPにはUEFIにメモリの詳細設定項目が存在しないため、いわゆる「オーバークロック仕様のメモリ」の使用は要注意。オーバークロック仕様のメモリの場合、たとえばPC4-256000で使用するには、UEFIで設定を行なう必要があり、この設定をしない場合はもっと低速な設定値が適用されてしまうからだ。そのため、本機でメモリをPC4-25600として使用するには、Crucial CT2K8G4SFS832Aのようなネイティブで対応するモジュールが必要となる。

 仕様についてASRockに確認したところ、安定性・安全性を重要視し、オーバークロックメモリは非対応としているとのこと。一般的なサイズのデスクトップPCと比べると、強力な電源ユニットや電源回路を使えない超小型PCであることを考慮すれば、この対応は必然のものと言える。同じCrucialブランドのメモリでも、ゲーマーに人気の「Ballistix」シリーズはオーバークロック仕様なので、今回のようなケースでは、緑基板でおなじみのスタンダードなCrucialシリーズのものを選ぼう。

 Micronと言えば、チップの生産からモジュールへの加工まですべて自社で完結するフローを構築することで信頼性を高め、エンタープライズ市場でも高い実績を誇る。そのMicronのCrucialブランド製品も、自作PCユーザーからは非常に高い支持を集めている。メモリの故障はPC全体に影響をおよぼすため、こうした信頼性の高いメモリを組み合わせるメリットは大きい。

 PC4-25600対応メモリを選んだ理由としては、CPU内蔵グラフィックス機能ではメモリクロックの影響が大きいことが挙げられる。下のグラフは、PC4-19200対応で同じ容量の「CT2K8G4SFS824A」を挿し、グラフィックス処理の性能を比較したものだ。

PCMark 10の計測結果3DMarkの計測結果レインボーシックス シージの計測結果(内蔵ベンチマーク機能で計測)

手のひらサイズの高性能8コアRyzenベアボーンキットをCrucialメモリ& SSDでハイコスパ仕様に仕上げてみた

 日常的な操作感を反映するPCMark 10の結果にはそれほど大きな違いはないように思える。現在のPCの処理能力の高さでは、メモリのクロックの影響を体感するのは難しく、Windows 10の操作性は、PC4-25600対応メモリとPC4-19200対応メモリで、大きく変わるところはない。しかし、メインメモリをグラフィックス処理に利用する内蔵GPUはメモリの速度の影響が出やすく、3DMarkや実際のPCゲームでは、無視できないレベルの差が生じることが分かる。

 PC4-25600対応メモリとそのほかのメモリの価格差が大きいのであれば、安い方を選ぶ選択肢もある。しかし実際にはほとんど変わらないか、1,000円~1,500円程度の差しかない。こうした状況も合わせて考えれば、やはりPC4-25600対応モデルを選ぶべきだろう。

 SSDは同じくMicronの「Crucial P5 CT1000P5SSD8JP」(1TBモデル)を選んだ。M.2スロットに装着するNVMe対応SSDで、シーケンシャルリードは3.4GB/s、シーケンシャルライトは3GB/sにも達する高速なSSDだ。実売価格は17,000円前後と、1TBのNVMe対応SSDとしては比較的低価格で購入しやすい。

MicronのCrucial P5 CT1000P5SSD8JP。PCI Express 3.0 x4のNVMe対応SSD

 実際に4X4 BOX-4800U/JPに組み込み、CrystalDiskMarkを実行した結果は下記のとおりだ。スペックとおりの素晴らしいリード/ライト性能を発揮しており、Windows 10の起動や挙動、各種アプリの操作感も良好だ。

CrystalDiskMarkの計測結果

 Crucial P5はヒートシンクを搭載しておらず、4X4 BOX-4800U/JPはコンパクトなので内部が狭く、発熱が気になるユーザーもいるだろう。まず気温が23.8℃の環境でのアイドル温度は、HWMonitor 1.44によれば44℃。

 SSDへの負荷が高いPCMark 10に含まれる「Full System Drive Benchmark」(システムドライブとしての処理性能を計測するテスト)を実行中の最高温度は57℃だ。さらに100GBのファイルをシステムドライブ内でファイルコピーしたとき(読み出し書き込みを同じドライブ上で実行すため負荷がやや高い)の最高温度は71℃とちょっと高めだったが、作業中に性能が低下している様子はない。

 もう少し安めの価格帯から選ぶなら、同じくMicronの「Crucial P2 CT1000P2SSD8JP」がオススメだ。シーケンシャルリードは2.4GB/s、シーケンシャルライトは1.8GB/sとCrucial P5には劣るとはいえ、SATA 3.0対応モデルに比べれば圧倒的に早く、NVMe対応SSDらしい使い勝手が期待できる。実売価格は14,000円前後と値頃感もある。

Micronの「Crucial P2 CT1000P2SSD8JP」。こちらもPCI Express 3.0 x4のNVMe対応SSDだ。ミドルレンジクラスで比較的安いP2(1TBモデル)のCrystalDiskMarkの計測結果

 とにかく大容量が欲しいということであれば、SATA 3.0のSSDという選択肢もある。以前と比べれば価格差は少なくなってきたとはいえ、1~2TBなどの大容量モデルではNVMe対応SSDよりも安い。SATAタイプのM.2 SSDもアリだが、4X4 BOX-4800U/JPは底面に2.5インチシャドーベイを備えているため、広く普及している2.5インチタイプが問題なく使用できる。

 また、M.2スロットと2.5インチシャドーベイの両方を持つので、システムドライブは価格をやや抑えつつも高速なCrucial P5の500GBに、データや大型アプリ(ゲームなど)の置き場としては1~2TBの2.5インチSATA SSDを、といった組み合わせ構成も可能。柔軟なストレージ構成が取れるのも4X4 BOXの魅力だ。

SATA SSDのオススメは「Crucial MX500 CT1000MX500SSD1/JP」。シーケンシャルリードは560MB/s、シーケンシャルライトは510MB/sで、2.5インチSSDの中ではトップクラスの性能。実売価格は13,000円前後少しでも価格を抑えるなら「Crucial BX500 CT1000BX500SSD1JP」もオススメ。こちらも2.5インチSSDで、シーケンシャルリードは540MB/s、シーケンシャルライトは500MB/s。実売価格は12,000円前後